風景への意識を架構に託す
キールハウス
横浜の傾斜地に計画した在来木造2階建ての住宅である。傾斜地の地盤上に安定的な躯体をつくるためにできた段差を利用し、そのまま床をずらしながら積んだため、2階建てながら4層の床が生まれることになった。4層の床を螺旋状に連続して繋げ、床と床の間から光が差し込むことによって、一体感のある空間を実現した。
構造的には、無柱のワンルームの空間をつくるため、大きなキールトラス梁をかけている。キールはこの住宅の主構造であるとともに、夏には直接光を遮り間接光を取り込むことで暑さを防ぎつつ明るさを確保し、冬には直接光を取り込むことで明るさと太陽の温もりを確保する環境制御装置となっている。
DETAIL
PLANNING
風景に向かう空間の軸
屋根にはソーラーパネルを設置したことから、勾配を南に向ける必要があった。そのため斜面の方向にキールをかけ、空間の軸が風景に向かうように意図した。地側には窓を設けず、キールから光を取り込むことで、密集住宅地の中にあっても光の充満する明るい居住空間を設けることができた。
- 所在地 横浜市港北区
- 用途 一戸建ての住宅
- 規模 地上2階
- 構造 在来木造
- 敷地面積 130.58㎡
- 建築面積 57.77㎡
- 延床面積 103.44㎡
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設計監理:建築
蘆田暢人建築設計事務所
担当:蘆田暢人、河津恭平 -
設計監理:構造
村田龍馬設計所
担当:村田龍馬、岡村麻耶 - 施工 栄港建設 担当:浦山弘樹
- 写真 繁田諭