3層ワンルームで構成する都市の別荘

葛飾の趣居

「自宅の斜向かいの敷地に離れをつくりたい」という依頼からこのプロジェクトは始まった。都市における別荘のように、住まい手が趣味を楽しみ、友人を招いて過ごすための場所である。新型コロナウイルスの蔓延に伴った「住むことの変化」。期せずして、その変化に沿うような計画となった。
空間構成は、天井の高い半地下室、ゴルフシミュレーターとカウンターキッチン、2、3階にフリースペースが渡る大きなワンルーム、そして1階のガレージというシンプルなものである。建物全体が3層のほぼワンルームのため、それぞれの場所をつなぐ動線が重要である。閉ざされた半地下の壁から鉄板だけが跳ね出す、1階と2階をつなぐ階段。T字型の柱と段板を一体化し、間仕切りにもなっている2階と3階をつなぐ階段。吹き抜けを渡る船底のように、鉄板を曲げてつくったブリッジ。いずれも強い個性を持ってワンルームに存在する。
建物を軽量化するため鉄骨造とし、外壁を可能な限り薄くするため小径の柱を並べて壁内に納めた。また、防音性能を確保すべく、半地下室は浮き遮音構造としている。外殻としての建物の性能を高め、各要素のディテールをつくり込むことで、単なる住居とは少し異なる様相をつくれたのではないかと思う。

DETAIL

  • 所在地 東京都葛飾区
  • 用途 住居
  • 規模 3階建て
  • 構造 鉄骨造
  • 敷地面積 93.41㎡
  • 建築面積 54.63㎡
  • 延床面積 142.80㎡
  • 設計監理:建築 蘆田暢人建築設計事務所 
    担当:蘆田暢人、野田歩夢
  • 構造 村田龍馬設計所 
    担当:村田龍馬、小坂大和
  • 施工 栄港建設 担当:渡井孝浩
  • 写真 繁田諭