雪との新たな関係性を築く

醸す森ヴィラ

松之山温泉から少し離れた黒倉地域の山の中に建つホテル醸す森。その別棟で、1棟貸しとして計画されたヴィラである。冬には4mにもなる積雪があるため、床を4m上げ、高床の建物とした。高床を支えるピロティはアウトドアリビングとしてしつらえ、夏には森や風景と一体化したオープンなスペース、冬には雪囲いで囲われ、かまくらのような雪に囲まれたこの場所でしか体験できない空間となっている。冬には雪に埋もれたような佇まいとなり、まるで平屋のような建物となる。4mの積雪時に直接客室から屋外に出ることができる出入口も設けている。客室は開放感のあるワンルームとし、高い天井高を活かしたロフト付きのフレキシブルな部屋となっている。

LOCATION

山の中の豪雪地域

松之山温泉から少し離れた松之山黒倉は小さな集落と棚田が広がる美しい場所である。この敷地は尾根にあるため、眼前には視線を遮るものが全くなく、絶景が見渡せる。この敷地の特性を活かし、これまで雪国にはなかった、雪が広がる風景と一体化するような建築を構想した。

DETAIL

冬の佇まい

積極的に雪に埋もれる

この建物は冬には雪に埋もれることを想定している。冬の姿が普通に見えるような佇まいを目指した。通常雪国の建物は、雪の荷重を受けるために1階をRC造とするが、ここでは鉄骨ラーメン構造とし、強度の確保と開放性を両立させている。

雪を受けるディテール

雪国の知恵を踏襲する

雪国で昔から一般的に用いられる杉の厚板を使った雪囲いを、冬にはピロティの鉄骨柱に取り付けることで、冬にも利用できるピロティを実現した。積雪で完全に埋もれた場合に、直接客室からも外に出ることができる出入口を設けている。

真っ白な世界の中で

雪とひとつになる空間

冬の雪景色と一体化するために、内装は全て白を基調としている。真っ白な世界の中で、暖かなひとときを過ごせる贅沢さを獲得することを企図した。真っ白な世界とひとつになる体験こそ、雪国でしか得られないかけがえのないものである。

  • 所在地 新潟県十日町市松之山黒倉1879-4
  • 用途 ホテル
  • 敷地面積 932.06㎡
  • 建築面積 49.03㎡
  • 延床面積 62.94㎡
  • 構造 S+木造
  • 設計監理:建築 蘆田暢人建築設計事務所
    担当:蘆田暢人、張賀鈞
  • 設計監理:構造 山田憲明構造設計事務所
    担当:山田憲明、竹原遼
  • 施工 高橋組、おのじま建設
    担当:佐藤正徳、小野嶋慎介
  • 写真 中山保寛

※地形データの画像は『3Dカシミール』で作成 http://www.kashmir3d.com/ しています。