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関係性を調停するLVLのラーメンフレーム
長源寺の庫裏
大阪市内にある浄土真宗大谷派 長源寺の庫裏の計画。戦後の移転後、この地で継承されてきた多世帯住宅を更新するにあたり、親子それぞれの家屋を渡り廊下でつなぎ一つの住宅として計画した。当初より中庭を囲むように既存の本殿と客殿と庫裏が配置されていた。そのような配置に対して、2つの世帯がそれぞれのプライバシーを確保しながら、大きな桜の木のある中庭を楽しめる関係性の構築を模索した。水平力を負担する360mm幅のLVLのラーメンフレームを外に出すことによって、中庭への視線を遮ることなく2つの世帯の間の視線を制御している。内部に柱のでないラーメンフレームは、次の世代が受け継ぐ際に、間取りの変更が自由に行えるフレキシビリティを獲得している。
DETAIL
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LVLのラーメンフレーム
統一された構造システム
平屋建ての親世帯と3階建ての子世帯を一つの建築としてまとめるため、双方を一貫したLVLのラーメンフレームで構成した。LVLは水平力のみを負担することにより、防火措置のない繊細な柱とすることができた。
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金物を使わない接合部
嵌合式木栓ラーメンフレーム
ラーメンフレームの接合部は、360mm幅のLVLと360mmの梁を嵌合させつつ、木栓で留めることで、金物を使わないローコストの剛接合を実現している。 (図版提供:村田龍馬設計所)
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外部化された構造体
構造体が生み出すファサード
ラーメンフレームを外に出すことで、内部空間のフレキシビリティを高めている。外観に現れる集成材の梁と垂直性を強調するLVLラーメン壁柱が生み出すファサードの支配的な要素となる。
- 所在地 大阪市西成区
- 用途 庫裏
- 規模 親世帯:平屋建て・子世帯:地上3階建て(一棟)
- 構造 木造(嵌合式木栓LVLラーメンフレーム)
- 敷地面積 1,481.76㎡
- 建築面積 220.06㎡
- 延床面積 331.32㎡
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設計監理:建築
蘆田暢人建築設計事務所 担当:蘆田暢人、張賀鈞
川上聡建築設計事務所 担当:川上聡、堀上薫乃
河津恭平 - 設計監理:構造 村田龍馬設計所 担当:村田龍馬、水島佑香
- 施工: VICO 担当:太田貴之
- 写真 笹倉洋平